手先

今ふと夢を思い出した、握っているぼくのこぶしを誰かが触れる、どうやら両手でぼくの手を包み込んでいるようだ、ぼくの手先は冷たくて、誰かの温度がぼくの手に伝わってくる、その両手はぼくの指を解こうとする、ぼくは妙な不安に襲われて、手先がじんわりと汗ばむ、爪をぐっとてのひらに食い込ませる、それでも誰かの手はぼくの指を解こうとするけれど、そこでよくわからない安心感も湧いてくる、誰がぼくの指を解こうとしていたのだろう。